どん底から立ち直ってがんばるぞ

50代後半でまさかのどん底を味わってプチうつに。ここからまた新たな人生を歩み始めるべく気づきと軌跡を綴ってまいります。同じような心を持つ方と一緒に進んでいけますように。

魅力的な人とは”今ここにいられる人”〜「新 演技の基礎のキソ」より〜

プチうつでくさくさする日々から抜け出そうと、私が思い切って行動に移したのは・・・

「シニア演劇部に入部」することでした。

今年2023年の4月。

なんかもう、そうせずにはいられなかったのです。

自営業を続けることができなくなりパートを始めたばかりで、金銭的には定められた半年間の会費(1万円とちょっと)を支払うことさえ難しかったのですが・・・

それでも、心を決めてえいやっ!と入部してしまった。

その結果は・・・?

大成功だったと思います。

入部して本当によかった!

1ヶ月に2回なので、実際に活動したのはまだ3回だけなのですが、ワクワクしている自分がいます。

このワクワクは、本当に久しぶりなのです。

中学生の時に演劇部でがんばった、その続きみたいな気持ち!

演劇の才能なんてまったくないのですが、動機は、冒頭で述べたとおり「くさくさする日々から抜け出す」ため。

これをきっかけに、本来の元気な自分を取り戻していけたらいいな、と思うのです。

 

そこで2回目の授業で先生が紹介してくださった「新 演技の基礎のキソ」という本を読んでみました。

いやいやこの本が、予想に反しておもしろい!

私がいま追求している「禅」の思想とリンクしている部分が多々あるのです。

「演技の基礎」というタイトルから勝手に想像していた内容とは全然違って

50代後半の人生をどう生きようか、という自分にぴったりな内容と言えるほどひたすら深くて驚いています。

形式としては、演技を教える先生と複数の生徒さんたちとの会話形式で、ワークショップの様子を綴ったもの。

その中から、今日胸に響いた部分を、忘備録として掲げておきます。

 

先生

(前略)

自分自身とはわかりやすいようでいて、謎でもあるわけです。

俳優は自分から出発しますが、表現するのは、あくまでも役という「他者」です。その結果として「自分」が見えるのです。

ただし、演技表現のために獲得してきた技術が、「自分」をガードしてしまうことがある。だから、なまじ技術を持っていない素人のほうが魅力的な演技をすることが起こり得るのです。

(中略)

つまるところ俳優の魅力は、本人の人間性と直接つながっています。

だからこそ、演技は魅力的な人にはかなわない。演技だけ変えようと思っても意味がないのです。

演技の訓練は自分が魅力ある、面白い人間になるための実践をしているという認識に立つべきなのです。

 

演技の訓練は、魅力ある面白い人間になるための実践となる・・・。

がぜん心が動く言葉です。

 

そして、「先生にとって魅力ある人とは?」という生徒さんからの質問に先生は答えます。

”今ここにいられる人”ではないでしょうか。

線ではなく点として存在できる人。

つまり、過去にも未来にもとらわれず、今この場を受け入れられる人です。

 

「今ここ」という禅につながる言葉がここに出てくるとは!

と申しますか、「今ここ」がすべての基本なのですよね。

芸事、芸術、武道、と、道を極める者が立つ地点はここ。

過去にも未来にもとらわれず、今この場を受け入れる「今ここ」にいること。

 

さらに、演技とは自分探しだと考えてきた、という生徒さんにこう囁きかけます。

問題はアプローチの方法です。

自分の内側の扉をノックするのではなくて、外側へと続く扉をノックする必要があるのです。それは世界と向き合っていくこと。世界といっても、それは僕たちが認識している外部のことです。

 

自己探究によって自分の立ち位置を確認しながら世界と関わっていく。

この姿勢は人生を歩く姿と重なります。

 

さらにさらに、「私はほかの演技の先生から、もっとあなたを壊しなさい、といわれ続けてきたのですが、どのように思われますか?」という生徒さんからの質問に、先生はこう答えます。

何を壊すかというなら「先入観」でしょう。

たとえば、与えられた役に対する先入観、演技に対する先入観、自分に対する先入観をとり払うことだと思います。

先入観は、外部に対する防波堤のような機能もあります。生きていくうえで必要だからこそ備わっているのでしょうが、表現にとっては弊害になる部分もあります。またトラウマも先入観的な部分が大きい。

俳優の仕事は、観客の先入観を壊すことにあります。その刺激によって、観客の明日に対する先入観が変化します。その役割を担う者が先入観の塊ではどうにもならない。

魅力ある人とは、少なくとも僕たちの先入観を壊してくれる人だと思います。

 

これは、本の中の10代20代の生徒さんたちには噛み締めることが難しいほど、先生の人生のエッセンスが詰まった深いメッセージなのではないでしょうか。

 

考えてみれば、私たちは、自分という役を生きる役者のようなものなのかもしれません。

 

そう思うと、4月に無謀な形でシニア演劇部に飛び込んでしまったことにも意味があったのかな、と思えます。

自分は、どん底に落ちて絶望の淵に立たされることになったけれど、いままたこれからの人生を新しい気持ちで生き直そうとしている。

このブログを始めたのもそんな気持ちからであり、

「つきとゆめ」という名前は、シニア演劇部で新たに自分に纏わせてみた芸名でもあるのです。

第5の人生は、自分という役を演じ切るつもりで歩んでいきたいと思います。

 

それとともに演劇部の活動も楽しく長く続けていけたらいいな。

3日坊主系の自分がどこまでがんばれるかわからないけどですね。

 

「新 演技の基礎のキソ」紙の本の新品は入手しにくそうなのですが、中古か電子書籍なら大丈夫そうなので、リンク貼っておきます。